ゲット アット ニューヨーク
GET AT NEWYORK
1993年 日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。同年、自身初の絵画作品《トレメンダス》を世に放つ
黒澤明、岡本喜八、伊丹十三、大林宣彦──日本映画界を牽引した名匠たちの作品に携わってきた島倉が、満を持して筆をとり、新たな表現の扉を開きました。その後、初期4部作第4作目として 【ゲット アット ニューヨーク / GET AT NEWYORK】を発表
ゲット アット ニューヨーク 記憶と光の都市詩 島倉仁
【 ゲット アット ニューヨーク 】
ニューヨークの摩天楼を背景に、美しく彩られた夕景です。水辺に立つ自由の女神は、アメリカの自由と希望の象徴として、静かに街を見守るような存在感を放っています。
【 ドラフト 】
制作にあたっては、丹念な取材を重ね、幾度となく構想を練り上げながらドラフトを描き進めました。
アクリル、クレパス、色鉛筆──それぞれの素材が持つ特性を巧みに活かしつつ、画面に静かに立ち上がるイメージを丁寧に形づくっていきました。
思索と試行を繰り返しながら、感性と技術が交錯する創造のプロセスが、作品の奥行きを支えています。
【 ゲット アット ニューヨーク部分 】
ビル群の灯りが星のように瞬き、文明の鼓動と静寂の女神像とが、対照的な美を成しています。人工と精神の象徴を美しく融合させ、「記憶」と「祈り」、「希望」と「追憶」を同時に呼び起こします。
画面中央に白く輝く尖塔をもつ建物は、エンパイア・ステート・ビル。力強さと詩情を併せ持った都市の象徴。
都市の誇りと静かな祈りが感じられる、ニューヨークという神話を切り取ったかのような印象的風景です。
ニューヨークの摩天楼が水面に映り込む、印象的な部分です。人工的な光の卓越性、色彩の相互作用、そして水面による反射現象はこの作品の基盤を支えています。
【 島倉仁 SHIMAKURA JIN 】
1940年
新潟県生まれ。10代で新潟県美術展に入選し、その後、文部大臣賞、郵政大臣賞を受賞。1960年、版画の研鑽を積む傍ら上京し、東宝(株)に入社。黒澤明、岡本喜八、伊丹十三、大林宣彦といった名匠監督作品に参加。また「ゴジラ」シリーズや「ウルトラマン」シリーズなどにおいて描かれる空や雲の表現は、島倉の手によるものである。1981年に東宝を退社し、アトリエを主宰。映画やCM作品の制作に加え、全国の博物館から内装壁画の制作依頼を受けるなど、その活躍は多岐にわたる。テレビやラジオなどのメディアにも数多く取り上げられ、「空の島倉、雲の島倉」としてその名を不動のものとする。1993年には黒澤明監督の映画【
まあだだよ 】における夕景作品が高く評価され、日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。同年、自身初の作品【トレメンダス】を発表し、横浜インターコンチネンタルホテルにて初の原画展を開催。以後、全国各地にて展覧会を重ね、芸術家としての歩みを確かなものとしている。
ゲット アット ニューヨーク
GET AT NEWYORK
島倉仁 / SHIMAKURA JIN
80号変形(約1470 x 1040 ㎜)
1993年制作
Fourth work
acrylic gouache and acrylic on board
ゲット アット ニューヨーク
GET AT NEWYORK